「不動産鑑定評価書」は、不動産鑑定評価基準に基づく正規の鑑定評価の成果として発行する書類であり、必要なあらゆる作業を尽くして決定した「鑑定評価額」が記載されます。公的証明能力を有しており、様々な場面で活用することができます。
一方、「不動産調査報告書」は、いわゆる簡易査定によって作成する書類であり、様式も概略的で、必要最小限の作業によって求めた「査定価格」が記載されます。ただし、不動産鑑定評価基準に基づく正規の鑑定評価ではありませんので、求められる査定価格はおおよその価格又は特定条件下の価格を示すものとなり、公的証明能力もありません。
しかし、いくらおおよその価格とはいえ、不動産鑑定士が発行する書類はどうしても社会的影響力を持ってしまい、一人歩きをしてしまうおそれがありますので、国及び公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会の指導により、内部資料用等発行できるケースが一定の場合に限られています。
このため、「不動産調査報告書」は、不動産鑑定評価に比べ費用は低く抑えることができますが、活用できる場面が制限されます。